第2章 「子育ての心理的な負担軽減につながった名言」

公開日 2018年03月01日

最終更新日 2018年03月27日

こどもの城に来館される方の中には、子育てに心理的な不安を抱えている(いた)方も多くおられます。
会話などを通して、何らかのサインを出された方に、スタッフができることは、まず共感することです。
次に、解決策を探ることもあります。

本章では、その過程で、心理的な負担軽減につながった言葉について紹介します。

たまには手を抜こうか、1週間に6日くらい

これは、少し冗談を交えた会話の中から生まれた言葉ですが、かえって、その気楽さが親に響いた事例です。

あるお母さんが、日常生活の辛さを語り始めた時のことでした。

食育を大切にしており、決まった時間にバランスのよい食事を心がけ、衛生面に気を遣って、天気を予測して洗濯をし、親子間のコミュニケーションを重視して、夫が帰宅する時刻に併せて食事を再加熱し、夫と子どもが夜に顔を合わせられるように昼寝をさせてから夜に起こし・・・・・・・・・と、自らに課した題をこなしていくことに、ある種の辛さを感じていると吐露されました。たまたま、会話の相手になっていたのが、どちらかと言えば、無計画に過ごすことの多いスタッフでしたので、まず発した言葉が「凄いね」でした。しかし、会話の中に出てきた規則正しい生活も、観点を変えてみると疑問が沸いてきたのです。

例えば、食事の栄養バランスや時刻だけではわからないのが、食事の際の家族の雰囲気です。そこについて尋ねてみると、やはり時間を気にして、「早く食べなさい」と急がせることばかりだとか、嫌いなものを食べない時の叱り方について悩んでいるということが聞かれました。他に、夫の帰宅に合わせて、眠っている子を起こさなければならないのだろうかと尋ねてみると、「親子の会話は大切だから」と答えられました。そこでさらに、会話自体は楽しくできているの?」と尋ねてみると、「夫と子どもは楽しく会話しているけど、私は必ずしも楽しくない」という答えでした。

これらの会話から、わかってきたことは、このお母さんが「規則正しい生活習慣を身につけたい(身につけさせたい)」と願い、一日も休まず努力していることでした。同時に、皮肉なことに、その過程において、家庭の中で楽しく過ごせていないということでした。

そこで、会話の相手だったスタッフが、思わず口にした言葉が、「たまには手を抜いたら、ダメですかね?」でした。念のためにふれておきますが、このスタッフも規則正しい生活習慣を身につけることの重要性は理解しているつもりです。しかし、他にも大切な要素、例えば笑顔で食卓を囲むことなどもあるのではないか、という気持ちで投げかけてみたのです。すると、意外なことに、このお母さんの心に、予想以上に響いたのでした。

実は、この家庭では、夫の平均帰宅時刻が20時から21時ということでした。そこから、家族全員で食卓を囲み、入浴するので、子どもの平均就寝時間が22時だということでした。そこから、さらに、台所を片付け、翌日の夫の弁当を用意して・・・・となると、お母さんの就寝時間は0時を過ぎてしまうということでした。これでは、睡眠など健康的な生活を営むうえで犠牲になっていることもあるのではという疑問から、「では、たまには手を抜いてみようか。1週間に6日くらい」という名言(?)が生まれたのでした。

ちなみに、数ヶ月経って、このお母さんがこどもの城に来られた時の言葉も紹介します。

「我が家は、今、夜8時に眠っていますよ。」

もちろん、笑顔でした。

鹿を見るなら奈良を見ろ

これは、物の見方についての会話の中から生まれた言葉です。

「ない」ものを見るよりも、「ある」ものを見るという視点の転換に関する有名な話があります。
例えば、コップの中に水がいっぱい入っていたのに、半分に減ってしまったという設定で、下記のAさん、Bさんの見方などです。

Aさん:「私の水を飲んだのは誰?」→「ない」ものを見た

Bさん:「ありがとう。私の水を残してくれて」→「ある」ものを見た

このような会話をしている時に、ふと気付いたのが、「ない」と語る人が、「~しか」という言葉を前につけていたことです。
逆に、「ある」と語る人は、「~なら」と言う言葉を前につけていました。「しか」と「なら」で、漢字変換すると鹿と奈良を連想してしまったということです。
修学旅行で奈良の東大寺に行き、鹿に煎餅をあげた思い出を持っている人もいました。そこで、生まれたのが、「鹿を見るなら奈良を見ろ」という名言(?)です。

実際に、こどもの城のスタッフと保護者が、跳び箱をしている子どもたちに声をかける時も、この違いが現れた場面があります。踏み切り台からジャンプして、子どもが跳び箱の上に乗ったとき、保護者が「ああ、もう少し!」と声をかけた傍で、同時に、スタッフが「やった!乗れたね」と声をかけたのです。先述のAさん、Bさんのように対比すると、以下のようになります。

保護者:跳び箱の上~着地する場所 → 足りないものが見えた

スタッフ:踏み切り台~跳び箱の上まで → あるものが見えた

この場面では、スタッフの声かけに「子どもたちへ、そんな声のかけ方もあるのですね」と保護者が感心され、やる気満々の顔つきで数回挑んだ子どもが、跳び箱を越えました。
なお、「鹿を見るなら奈良を見ろ」は、子どもだけでなく、子育て中の親など大人に対しても、意欲を引き出す場合に、効果的な場合が多いことを付け加えておきます。

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