第3章 「人と関わるうえでの名言」

公開日 2018年03月01日

最終更新日 2018年03月27日

こどもの城は、子どもたちが生きる力を培ううえで、周りの大人もふれあうことを大切にしています。
この章では、そんな人と関わるときに生まれた言葉について紹介します。

痛くないプロレスごっこがあるかっ!

人と関わることは、うまくいく場合ばかりではなく、時に難しいことがあります。場合によっては、痛みを伴うことさえあります。子どもたちが成長するように、また、自然が刻々と変化するように、人も変化するからでしょうか。痛みを避けて通れるならば、人と関わることがラクになるのでしょうか。また、同時に、子育てそのものもラクになるのでしょうか。こどもの城では、人と関わることは避けて通れないことだと考えています。否、それどころか、伴う痛みを成長の糧にできないか、若干の痛みを体験しながら自分や他人を守れる力に昇華できないかと考えています。なので、館内に、「ここは、ぶつかるところ。さあ、どうしたら守れるかな、自分も他人も」などと書いてあるのです。

さて、痛みは、身体的なものと心理的なものがあるように思います。見出しにある「痛くないプロレスごっこがあるかっ!」という言葉は、開館2年目に、ボランティアのお兄さんと小学生が遊んでいる時に、身体的な痛みを伴う場面で生まれた言葉です。この場面で、身体的な痛みを伴ったのは、実はボランティアのお兄さんの方です。こどもの城は、痛みを伴うこともある場所だからといって、ボランティアのお兄さんが、小学生にも痛みを教えてやろうとしたわけではありません。むしろボランティアのお兄さんは、2発ほど蹴られました。3発目の蹴りが飛んできた瞬間に、お兄さんが小学生を押さえつけると、さっきまでニヤニヤして蹴っていた小学生が、いきなり泣き始めたのです。一瞬にして、蹴った方が“被害者”に見えてしまう状態になりました。その時、お兄さんが冷静に小学生を担ぎ上げて出した言葉です。あらためて、この言葉に含まれる多くの意味を書き出してみると、以下のようなことでしょうか。

「蹴られた人は、痛いんだぞ!」

「君の蹴りが、前にいる小さな子どもに当たってしまうこともあるんだぞ!」

「『ごめんなさい』を言わず、泣くのか!」

「そもそも、プロレスごっこがしたいのなら、これくらいの痛みを覚悟しなきゃ」等々

ちなみに、この時、お兄さんには多くの子どもたちが群がっており、中には2歳くらいの小さな子も混じっていました。蹴った小学生は、お兄さんの興味を自分に惹きたかったのかもしれませんが、小学生に蹴られると、いかに運動神経の優れたお兄さんでもバランスを崩しそうになります。この場面では、一番小さな子を守ることを最優先した措置でした。

今でも、こどもの城では、似たような場面がよく起こります。いずれの場合も、最善の措置が何なのか瞬時に判断することは難しいものです。大切にしているのは、子どもたち自身が自分たちを守れるようにと願っての判断です。
決して、痛みを放置したいわけではありません。痛みに対してどのように向き合うか、大人にもいっしょになって考えてほしいのです。実際に、自分の子が少し年上の子達から叩かれたと言って、その年上の子達の親に苦情を申したら、数年経って、自分の子が年下の子を叩いて苦情を言われてしまって、ショックを受けた母親の事例もあります。「まさか、自分の子が“加害者”になるとは想像もしなかった」という類です。できるだけ、小さな痛みで大きな痛みを防ぎ、子どもたちが自分たちを守れる力を身につけられないか、子どもたちが成長するうえで、まさに避けて通れないことだろうと考えます。なお、現在でも、館内には、この言葉が大きく書いてあり、いわゆる“写メ”を撮っていく方がおられます。

幸せな人の共通点は、いつも人が喜ぶことを考えている

これは、こどもの城スタッフと教員歴のあるボランティアが、諫早市内の小学校6年生の授業に出向いた時に発表した言葉です(こどもの城では、そういった取組を数多く実施しています)。当該校では、当時、匿名の落書きがあるなど、いじめとも受け取れる現象が起きていました。事前に、教師や学校支援員の方と、そういった現象が起こる背景について話し合い、子どもたちが望ましい自己表現をする体験が少ないのではないかという仮説を立てました。同時に、他人を思いやる体験も少ないのではないかという仮説を立てました。

そこで、授業では、交代で代表2名に出てきてもらい、他の児童が全員で話し合って、「やってほしいこと」をジェスチャーで当てるというゲームを実施してみました。「やってほしいこと」は、当時流行していたお笑い芸人さんのネタなどでしたが、他の児童が円になって座っている中で、いろんな動きをしながら徐々に正解にたどり着くというものです。この時、他の児童は言語で指示を出せません。ただ、代表2人が、「やってほしい」ことに近い動きをした場合は、拍手をしていいというものです。拍手の強さによって、代表2人が、相手の思うことを察するという体験を含んでいます。同時に、「やってほしいこと」をしてもらうために、自分たちもサインを出して、正解に近づくお手伝いをする体験を含んでいます。

こんなゲームをやったからといって、一朝一夕に、いじめとも受け取られる現象が一気に無くなることはないのかもしれません。しかし、時々、自分のことよりも他者のことを優先して考え、行動してみる体験を通して、子どもたち自身が互いに望ましい自己表現を模索していくことは重要であろうと考えます。

授業の最後に、「幸せな人の共通点は、いつも(周りの)人が喜ぶことを考えている」と発表した時、人に喜んでもらえたという体験をした児童たちは、深く頷いた顔つきをしていました。

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