第4章 「組織運営に関する名言」

公開日 2018年03月01日

最終更新日 2018年03月27日

こどもの城が開館して約9年になります。
これまで、子育ての悩みが軽減した親の事例、指導者として手法を学び活かしている事例、失敗体験を通して自信を持ち勉強やスポーツにチャレンジするようになった中高生の事例など、一定の成果があったと考えられます。
その陰には、こどもの城を運営するにあたり、スタッフのチームが試行錯誤しながら、工夫してきたことがあります。
この章では、そんな運営の工夫について少し紹介します。

ホウレンソウよりシュンギク

チームでプロジェクトに向かい合う時、多かれ少なかれ、そこには情報共有が必要です。
こどもの城も例外ではありません。チームによっては、連絡のための係がいる場合などもあります。
例えば、こどもの城スタッフが、大きな病院の看護師の研修を引き受けた時に(こどもの城では、このように、職場の研修を依頼されることがあります)見せていただいた職場では、日勤と夜勤の交代があるため、患者さんの情報を伝達する係の方がおられ、非常に参考になりました。それほど、報告・連絡・相談はチーム全体にとっては、重要なことです。

このことに関して、これまで実績報告書などで、何度も紹介してきましたが、こどもの城では、「ホウレンソウよりシュンギク」という考え方で運営しています。この考え方が、組織に有効であり、二つの野菜を用いた語呂合わせとしても記憶しやすいと思われたようです。今では、働き方の改革をテーマに講演活動をされる方が引用されたり、国立の類似施設の管理職の方が提唱されたりしている事例があるようです。

さて、あらためて「ホウレンソウよりシュンギク」を説明すると、「ホウレンソウ」は、報告・連絡・相談のことであり、あまりにも有名で重要な概念です。一方、こどもの城が独自に考え出したのが、後段の「シュンギク」です。「シュンギク」に漢字を当てはめると、“旬”と“聴く”になります。“旬”は、「ホウレンソウ」の最新情報の中身を表し、“聴く”は受信者の態度や責任を表しています。組織の中で「ホウレンソウ」を唱える時、発信者に焦点が当たることも多いものです。言い忘れ、内容の曖昧さ、発信者と受信者の時間のズレなど、情報共有がうまくいかない原因は多々ありますが、意外にも、これまであまり受信者の態度や責任には焦点が当たらないことが多いと感じます。発信者が部下で受信者が上役の場合などは、最たるケースであるように感じます。

こどもの城を例にとれば、館長の時間に合わせて「ホウレンソウ」を行なうのは至難の業です。受信者である館長の態度や責任が問われなければ、館長との勤務日が異なるスタッフは、自分の休日を犠牲にして、「ホウレンソウ」を実行しなければなりません。勤務日が同じであっても、館内の別の場所で別の利用者対応をしていれば、館長と顔を合わせないこともあります。
こどもの城が、あえて受信者にも焦点を当てた運営の背景には、スタッフの勤務日が異なるという実情があるのです。

上述の病院での勤務交代に近いものです。折しも、働き方の改革が叫ばれる中、これまでホウレンソウの重要性を理解しつつも、それが円滑に機能しない職場の事例というのも見聞きしてきました。その陰に、人間関係の希薄さがあったり、役職による遠慮があったりという事例です。「ホウレンソウより(も)」とありますが、「ホウレンソウ」の重要性を理解しているからこそ、こどもの城は「シュンギク」を大切にして、「ホウレンソウ」が自然に、かつ円滑にできるよう運営しています。その際、メモなどを効果的に使って補うことにしています。

強いチームは、ボールを持っていない人の動きが凄い

これも、第3章で紹介した小学校の授業の中で、スタッフが児童に発表した言葉です。

小学校の学級づくりと組織運営には、多くの人が力を合わせる意味で、共通点があります。学級にも係があるように、職場や実行委員会などの組織にも係があります。他者と仕事をしたり、プロジェクトを進めたりするうえで難しいのは、係を決めただけでは、必ずしもうまくいくとは限らないことです。むしろ、責任を果たそうとして、係の役割に没頭するあまり、他の係や全体のことが見えなくなってしまうということだって起こります。そのために、組織では管理職や調整役が、チームでは「長」やリーダーの役割をする人を配置するなどします。しかし、それもまた、調整役の役割だからとメンバーが一任してしまうと、結果的にチーム全体でカバーする力が育たない場合もあります。

少年野球などで、よく見られる光景ですが、選手が暴投した球がグラウンドの中をどこまでも転がり続けてしまうということがあります。この点、プロ野球では、選手がエラーを想定して事前にカバーに走るので、エラーによる被害を最小限で抑えられます。時には、カバーした選手が、次の塁を狙った走者をアウトにしてしまう好プレーが生まれることもあります。まさに、「強いチームは、ボールを持っていない人の動きが凄い」のです。

他のスポーツでも似ていますが、チーム競技で優勝した選手のインタビューのセリフを聞いていると、「チームが優勝できたことが一番嬉しいです」と語っていることが多いものです。こういったセリフからも、活躍する選手が、いつもチームを優先して考えているのだなと感じます。こどもの城でも、各スタッフが、常にチームを優先して考えて勤務していられるようにありたいものです。前項の「ホウレンソウよりシュンギク」も、このようなチームのあり方について工夫した一つの例です。あり方を声にするだけでなく、具体的な行動に移してこそ、「ボールを持っていない人の動きが凄くなる」と考えて実践している手法の一つです。

そもそも、「シュンギク」に漢字を当てはめた“聴く”は、カウンセリング場面などでも重要な要素です。各スタッフが互いを受け止め、カバーし、互いに切磋琢磨していくことで、子育ての支援や自然体験などを通した教育が可能になっていくと考えます。

今後も、強いチームを目指して、組織運営に努めます。

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