第5章 「マーケティングに関する名言」

公開日 2018年03月01日

最終更新日 2018年03月27日

こどもの城は、子どもたちが「生きる力」を培うことを目的とした諫早市の行政の施策です。
その目的を達成するうえで、市民の、とりわけ子育て中の親や子どもたちに関わる指導者のニーズを探ることは重要なことです。
マーケティングという言葉には、いろんな定義があるように思いますが、ここでは、「人々の生活を見ること」と考えてみます。
そんなマーケティングに関する言葉を紹介します。

アンケートの結果だけでニーズって言うな

官民を問わず、人々の動向を探る時に、アンケートを用いる場合があります。ここで言うアンケートは、質問紙法を指すことにします。アンケートは、一つの参考資料や指針となる場合もありますが、記入者の本意が必ずしも反映できない場合や、情報が限られる場合などがあることを理解しておく必要があると考えます。

例えば、「こどもの城で、どんなことがしたいですか?」という質問を設定し、「登山」と回答してもらったとします。それだけでは、以下のようなことは、わかりません。

  • 鍛錬を目的とした登山なのか、リラックスを目的とした登山なのか(What for)
  • 夏の登山なのか、冬山の登山なのか(When)
  • こどもの城から出発する登山なのか、諫早市外に出かけた登山なのか(Where)
  • スタッフが引率するのか、自分たちだけでやるのか(Who)
  • 子どもがやるのか、親子でやるのか(Whom1)
  • いつもの集団や仲のいい人とやるのか、知らない人とふれあうのか(Whom2)
  • 子どもたちに教えながらやるのか、子どもたちが自分たちで考えるのか(How)
  • 無料でやるのか、参加費を徴収してやるのか(How much)

また、ニーズというのは、日本語にすると必要だという意味です。そもそも、この質問ではウォンツ(「~したい」)について訊いていますので、ニーズについて尋ねたわけではありません。ニーズを探るならば、なぜ登山をしたいのか、登山と回答した背景は何なのかなどの過程を通して、人々に必要なことは何なのかを考察していくことが必要です。「何パーセントの人が登山をしたいというニーズがあります」とは言えないでしょう。こどもの城では、アンケートよりも面談(対話)法を重視しています。子育て中の親など、市民のニーズをつかむためには、人々の背景を探ることが重要だと考えるからです。

ヒット企画はHIT(Human in trouble)から

こどもの城では、年間を通して、様々な活動やプログラムを実施しています。中には、企画した際に意図しなかったほど人気が高いものもあります。逆に、実施当初は、さほど注目されていなかったのに、やり続けることで、参加希望が多くなったものもあります。このような人々の心を打つことができたものを「ヒット企画」と呼ぶならば、こどもの城では、その企画背景に、人々の生活を見るという原則があります。「何となく、よさそう」とか、「これがブームになっている」などに縛られず、「何が必要」で、「今、何ができるか」を探ります。こどもの城では、それが「人々が困っているとき」に寄り添うことで可能になると考えています。

また、結果としてヒット企画になったものは、実は活動やプログラムそのものでなく、それらを進行する際の手法によるものなのです。こどもの城では、参加される方の様子によって、活動やプログラムの内容を流動的に変えていきます。したがって、「どんなことをやるのですか?」という質問に、すぐに答えられないことばかりです。「どんなことをやる予定ですか?」という質問だと答えられるのですが。

では、人々が困っているときに寄り添う事例について紹介してみます。毎年、夏季に「沢歩き・沢遊び」を実施し、たくさんの応募があります。元々は、子どもたちの自然体験活動の機会を提供する意図で企画したものですが、参加者の中に、知り合いの方が水難事故で亡くなったというご家族がいて、二度とないように悲しい事故を防ぎたいという気持ちを把握することができました。そこで、プログラムの過程に、安全に関する対策の要素をたくさん取り入れることにしました。子どもたち自身が道具をバッグに詰める体験、万一に備えてのロープワーク、さらには、実施日までの普段の生活をリズム良く(規則正しく)行なうことの啓発まで行ないました。参加した家族からは、「実際に家族で野外に行く時に役に立ちます」などの感想が聞かれました。「沢歩き・沢遊び」というタイトルの活動が、「沢を活用した親子リスクマネジメント講座」の内容に変化し、スタッフが想定していた以上に、ヒット企画になっていきました。

人々が困っている時、そこには、一時的なものから継続的なものまで、何らかの助けが必要になります。こどもの城では、困っている人々に、今できる支援をしながら、困っている原因を探り、中長期的に何が必要なのか考えながら、今後も企画してみたいと思っています。

お問い合わせ

こどもの城
住所:〒859-0307 長崎県諫早市白木峰827番地2
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