第2章「出前や団体利用あれこれ」

公開日 2021年03月15日

最終更新日 2021年03月18日

 前章では、コロナウイルスによって予約制の利用になったこどもの城のことについてふれました。しかし、元々、こどもの城は、諫早市民を含む「団体」という形で事前予約して利用(または諫早市内に出前)することができます。この章では、今年度に実施された団体の活動について紹介しようと思います。

中学校の人権学習

 コロナウイルスの感染が拡大しようと、児童生徒の学びは止まりません。今年度も、いくつもの学校から出前の依頼があり、スタッフが学校を訪問し、授業を行いました。そのうちの一つの中学校では、感染が下火になった時でしたので、午後の授業の前にクラスに入り、生徒といっしょに給食を食べさせていただきました。既に知見が得られているように、食事場面は感染のリスクが高まるそうなので、感染対策を十分に講じた配慮をしたうえで給食を体験させていただきました。学校の給食と言えば、5~6人で班を作り、机を寄せ合って食べる風景がよく見られるものです。しかし、感染対策の一環で、当該中学校では、全員が前を向いて給食を食べ、無言で食事をするという風景に様変わりしていました。思わず、おしゃべりをしてしまう生徒に対して、前で食事をしている担任の先生が、「しーっ!」と人差し指を立てて注意される場面も何度かありましたが、概して、生徒は感染対策を受け入れて、互いに配慮しながら食事をしていました。中には、スタッフに飲み終わった牛乳パックのたたみ方を教えてくれる生徒もいて、なんだか「ここにおって(居て)いいよ」と言われた気がしました。給食後の昼休み時間も生徒とともに過ごしたのですが、このように、依頼された授業の前の時間を生徒と過ごすことで、スムーズに授業に入っていくことができるのです。人権学習では、「自分がクラスのみんなのために何ができるか。また、何かをしようとしている人に一人一人が応援できることはないか。」ということをテーマとした活動を行いましたが、給食~昼休みを生徒と共に過ごした効果があったのか、生徒たちは積極的に活動に取り組みました。

 別の中学校では、感動的なできごとがありました。この中学校では、普段から学年を越えた縦割りで表現活動に取り組んでいます。スタッフが依頼されたのは校内の人権集会での学習でしたので、人権というテーマと表現活動をリンクできないかと考えて授業を展開しました。体育館に全校生徒が集まる人権集会では、生徒は「やらされている感」がなく、自ら互いに距離をとって並び、挨拶も気持ちよいものでした。集会では、人権委員の生徒が、本を読みながらでなく、表情豊かに詩を諳んじ、人権意識を高めるために実施したアンケートの結果を全校生徒の前で堂々と発表していました。あらためて、諫早市内の中学校で素晴らしい教育が展開されているなと感じました。

 そういった生徒たちであったため、事前の予定になかったのですが、スタッフが普段の表現活動を見せてほしいと生徒たちに投げかけてみました。生徒たちはあまり躊躇することなく、その場で、これまで練習してきた「ソーラン節」の踊りを披露してくれたのです。目の前で、中学生が団結して、一糸乱れぬ踊りを披露してくれると、やはり感動してしまいます。しっかりと表現できる、あるいは表現していいんだという風土が醸成されていることは、人権意識の高まりに繋がると確信しました。そして、第1章でもふれましたが、マスクをつけた生活が続く中で、自己を表現したりコミュニケーションを図ったりすることは、ますます重要な視点になるのではないかと感じました。

親子のレクリエーション

 今年度は、こどもの城に事前予約をされていた団体が、感染のリスクを考えてキャンセルされる事例が相次ぎました。市外・県外にスタッフを講師として派遣する予約も同様にキャンセルになった事例が相次ぎました。このような事例は、こどもの城だけでなく、幼稚園や保育園、PTAなどでも同様のようです。感染が下火になった秋に、「運動会など園行事ができなかったので、なんとか保護者が主催して、集まる機会を作りたい」と、ある保育園の保護者から相談があり、予防対策を講じたうえで、こどもの城にて親子のレクリエーションを企画実施することにしました。

 内容は、親子で簡易にできる自然散策で、プログラムの最後に、それぞれ園児が見つけた“秋”を発表するというものでしたが、最初に集まったときの保護者の少し緊張した顔つきと、最後に嬉々として子どもたちが発表する姿を微笑んで見つめている顔つきは、明らかに違うものでした。

 ただ、感染のリスクを考慮して、今回は家族単位で自然散策を実施しましたが、本来は、よその保護者と園児がペアを組んで実施したいところです。家族ごとに実施する手法から、他の親子とふれあえる社会が、一時も早く戻ってくることを願うばかりです。

親のグループ・カウンセリングという学び

コロナウイルスの感染対策をしながら学んでいる人たちの例として、最後に、親のプログラムを紹介します。

 こどもの城では、以前から「誰もが参加できて、その日に解散する」形式の親のグループを受け入れてきました(過去に、「いさはや子育てネット」に記事を掲載しています)。多くの団体が実施をとりやめる中、学びたいという気持ちで企画され、場を創って来たグループがあります。以前は、こどもの城がモデルとして8回シリーズで提示してきた内容に沿ってプログラムを展開していましたが、今年度のグループは、回ごとに自分たちでテーマを考え、こどもの城が内容をアレンジするという形で実施しました。

 特筆すべきは、コロナウイルスの感染拡大に伴って定着してきた、いわゆる「新しい生活様式」に関する内容でした。この、「新しい生活様式」によって、子どもや他の親とのコミュニケーションにおいて、“変わったこと”について、いくつかの事例から、参加者がスタッフとともに考えるという内容でした。

 約10人の参加者がありましたが、第1章で述べたように、ボディアクションを意識するようになったことや、マスクをしていて聞こえにくいので、少し高いトーンで喋るようになったなどの事例が紹介されました。そんな中で、興味深いことに、「世界はつながっているんだなと感じた」、「人にやさしくできるようになった」ということを語ってくれた参加者がいました。折しも、心無い偏見などによって感染された方やその家族を傷つけるような行為が社会問題として浮上してくる中での学び合いでしたが、今ある暮らし、様式が変わってしまっても、そこに「誰かのお陰」があるということを参加者みんなで気づき合った学び合いでした。

 この章では、こどもの城を活用して学んでいる事例を紹介してみました。未知のウイルスが人々の暮らしを変えていってしまう中、それでも親も子も学びを止めないことは、一筋の光に見えます。こどもの城は、親も子も学ぶ場所です。学ぶことは、コロナウイルスに向き合う一つなのかもしれないと感じた親たちのプログラムでした。

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